通常、2 社の非関連者間取引において、対価は、(使用する資産及び引き受けるリスクを考慮の上)それぞれの企業が果たす機能を反映する。したがって、関連者間取引の描写、そして関連者と非関連者、又は関連者間取引と非関連者間取引の比較可能性の決定に当たっては、機能分析が必要になる。

 この機能分析は、取引の当事者の経済的に重要な活動及び責任、当事者が使用又は提供する資産並びに引き受けるリスクを特定しようとするものである。この分析は、当事者が実際に行っていること、及びそのための能力に焦点を当てるものである。当該活動や能力には、事業戦略及びリスクに係る決定と併せて、意思決定も含まれる。

 このためには、当該多国籍企業グループの構造と組織について、またそれらが多国籍企業グループの経営の中でどのように影響を与えているかという点について理解することが有効であろう。特に、グループ全体としてどのように価値が創造されているか、また、グループの他の関連者が果たす機能との相互依存性や価値創造に対する関連者の貢献について、理解することが重要である。また、機能を遂行する際の各当事者の法令上の権利及び義務を特定することも関連するであろう。

 取引の一方の当事者が他方の当事者に比して多くの機能を果たす場合であっても、各当事者にとっての頻度、性質及び価値の観点から見た機能の経済的重要性が重要である。