租税回避とは、 金子によれば、以下の通り説明される。

 租税法の定める課税要件は、各種の経済的取引ないし私的経済活動を定型化したものであるが、私的自治の原則ないし契約自由の原則の支配している私法の世界では、人は、一定の経済的目的ないし成果を達成しようとする場合に、強行規定に反しない限り自己に最も有利になるように、法的形成を行うことができる。

 租税回避とは、このような司法上の経営可能性を異常又は変則的な(「不自然」という言葉は、主観的判断の幅が広く、不明確度が大きいため、避けておきたい)態様で利用すること(濫用)によって、税負担の軽減または排除を図る行為のことである。

 租税回避には2つの類型がある。

 1つには、合理的または正当な理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、通常用いられる法形式に対応する税負担の軽減または排除を図る行為である。(中略)

 もう1つは、租税減免規程の趣旨・目的に反するにもかかわらず、司法上の形成可能性を利用して、自己の取引をそれを充足するように仕組み、もって税負担の軽減または排除を図る行為である。