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同時文書化義務取引に係るローカルファイルの作成期限
本邦税制上の取り扱い
法人は、国外関連者との間で国外関連取引を行った場合には、当該国外関連取引に係るローカルファイルを、当該事業年度の法人税の確定申告書の提出期限までに作成し、又は取得し、財務省令で定めるところにより保存しなければならない。
すなわち、原則的には事業年度終了の日の翌日から2か月以内であり、一定の要件を満たして申告期限の延長の特例の申請をしている法人であれば、3か月以内(連結事業年度にあっては4か月以内)ということになる。
実務上の論点
しかしながら、決算・申告期の業務繁忙により、確定申告期限までに文書化できないことも実務上は想定し得る。そのような場合においては、以下のような対応が考えられる。
実務上の対応
以下にて実務上の対応を解説する。
法制度上の整理
まず、ローカルファイルの同時文書化義務は、上記の通り、確定申告期限までにローカルファイルを「保存」するものとされており、確定申告書とともに「提出」されるものではない。
そして、ローカルファイルの当局への提出は、同時文書化義務対象国外関連取引であれば、税務当局が法人にローカルファイルの提示若しくは提出を求めた場合において、その提示若しくは提出を求めた日から45日以内の調査官の指定する日までに提示若しくは提出することとなる。
加えて、同時文書化義務対象国外関連取引について確定申告期限までに保存することができなかったこと自体に対する罰則はない。(ただし、同時文書化免除国外関連取引と同様、推定課税による処分を受けることになり得る点は留意されたい。)
実務対応
従って、納税者としては確定申告までに同時文書化を行えなかった場合には、当局への自主申告などは要しないため、特段のアクションはひとまずは不要となる。
しかしながら、その際に重要なことは、申告型の移転価格制度を採用する本邦において、確定申告の際に当該事業年度の国外関連取引が独立企業間価格で行われ、移転価格税制による加算調整を行わないことの妥当性確認を少なくとも行っておくことである。
また、上述の通り、税務当局から提示若しくは提出を要請された場合には、一定の期限内に提示若しくは提示する必要が出てくることから、可及的速やかにローカルファイルの完成に向けて作業を進めることが肝要である。