独立企業間価格とは、国外関連取引が独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って行われるとした場合に当該国外関連取引につき支払われるべき対価の額を算定するための最も適切な方法により算定した金額をいう。

 この独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って行われるとした場合の対価の算定方法には、基本三法と取引単位利益法といった限られた種類しかない。この独立企業間価格という観念は、不確定概念ではないにしても、きわめて不明確な概念と言える。

 つまり、関連者間の現実の取引ならびにその取引条件が五万とある中、その独立企業間価格とは、納税者や税務当局をはじめとした当事者によって、解釈及び適用が当然ながら異なってくることが通常と言っても過言ではない。

 これこそ移転価格は厳密な科学ではなくアートであると言われる所以であり、紛争の根源でもある。移転価格において特に重要となってくる関連者が果たす機能を中心にいかに叙述し、ストーリーを描いていくかには、移転価格の十分な知識並びに経験が不可欠となる。